舌下免疫療法
舌下免疫療法とは?
アレルギーの治療法のひとつに「アレルゲン免疫療法」があります。
「減感作療法」や「脱感作療法」とも呼ばれています。
これまでアレルゲン免疫療法は治療薬を皮下に注射する「皮下免疫療法」が行われていました。
近年、皮下ではなく舌の下(裏)に治療薬を投与する方法が登場しました。
これが「舌下免疫療法」です。
アレルゲン免疫療法とは
アレルギーの原因となる「アレルゲン」を少量から投与し、体を慣れさせることでアレルギー症状を和らげる治療法です。
アレルギー症状を緩和したり、長期間にわたり症状をおさえる可能性がありますが、治療は年単位で長期にわたります。
舌下免疫療法と皮下免疫療法(減感作療法)の比較
| 舌下免疫療法 | 皮下免疫療法 | |
|---|---|---|
| 投薬方法 | 口に含む | 注射 |
| 治療期間 | 3～5年 | 3～5年 |
| 通院頻度 | 少ない | 多い |
| 維持量までの期間 | １週間 | 2～6ヶ月 |
| 副作用 | 極めて少ない | まれに重篤 |
| 体への負担 | 口に含むため痛みはない | 注射による痛み |
毎日の服用により症状が出にくい体質に変えていく、唯一のアレルギーの根本的な治療法です。
当院ではご本人・ご家族・クリニックが一体となって、アレルギー症状を改善できるようサポートしていきます。
対象年齢
ダニアレルギーおよびスギ花粉症と診断された５歳以上の方が対象です。
舌下免疫療法を行えない方
- 高血圧でβ阻害薬を使用している方。
- 妊娠している方、今後妊娠を予定している方。
- 重症喘息を起こすことがある方。（例：1秒率が７０％未満になる方）
- 全身的な重い病気を有する方（悪性腫瘍、自己免疫の病気、免疫不全症、心臓の病気、慢性感染症）。
- ステロイド薬を内服したり、抗がん剤を使用する方。
- かぜなどの急性感染症にかかっている方。
その他、舌下免疫療法をしてはいけない時は、
- 喘息発作や咳などの喘息の症状があるとき。
- 口の中のかゆみなどの症状がひどいとき。
- 歯を抜いた後など、口の中の手術、傷や炎症があるとき。
- かぜや体調が悪いとき。
- 舌下投与と長期に中断した後、再開するとき。
舌下免疫療法をご希望の方は
当院での診察をうけ、直接医師にご相談下さい。
当院での舌下免疫療法の流れ
初回は、問診、診察、アレルギー検査を受けてない場合には採血などの検査、説明文書などをお渡しいたします。
次回再診日までに、舌下免疫療法の治療内容、治療期間、副作用（まれにアナフィラキシーショックなどをきたす可能性）、治療効果などを充分にご理解の上で、舌下免疫療法を行うかをご検討いただきます。
次回再診時には、再度ご本人の意思を確認します。
ご希望の方には予約をとっていただき、同意書にサインをいただいた上で、院内で舌下免疫療法を実施します。
30分間は院内で待機し、副作用が出ないことを確認してご帰宅いただきます。
舌下後、少なくとも２時間は激しい運動や入浴は避ける必要があります。
また投与直後の食事、特に飲酒は避けてください。
治療には長期間を必要とします。
治療期間としては３年から５年以上といわれています。
スギ舌下免疫療法（シダキュア）のよくある質問
Q：どのように舌下免疫療法を行うのですか？
A : スギ花粉エキスを含む錠剤を舌下に置きます。
そのまま約１分舌の下に置いた後飲み込みます。
毎日服用を行い、特に症状等問題なければ7日目から増量します。
初回、増量時は医療機関で服用します。
Q : いつから治療を始められるのですか？
A : 花粉の飛散期間以外の6月～12月に治療を開始します。
花粉の飛散期間中は副作用が生じる可能性が高く、効果も見込めないなので、飛散が始まる3か月以上前から開始することをおすすめします。
※アレルギー検査を行い、スギ花粉症と確定診断がついてから治療を開始します。
Q : 通院はどうなるのですか？
A : 定期的な通院が必要です。
初回と１週後の増量時は副反応が出ないか確認するため医療機関を受診ください。
治療開始後しばらくは2週間ごとに通院していただき、安全性に問題がなければ月に1度の通院となります。
Q : 薬にはどんな副作用（副反応）がありますか？
A : 自然界にあるスギ木の花粉から薬用に成分抽出されているため、薬害は無いと考えられます。
スギ花粉にアレルギーがある患者さんにスギ花粉で治療するので、スギ花粉を入れることによりアレルギー反応が起こる可能性があります。
このような反応を副作用と呼ばず、副反応と呼びます。
まれにアナフィラキシーと呼ばれる強いアレルギー反応を起こす可能性があります。
しかし海外のこれまでの実績では重篤な副反応は極めて稀であり、従来の注射を用いた免疫療法より安全と考えられております。
軽い副反応はありますが、決して怖いものではありません。
しっかり理解していただければ、安全に行えます。
Q : スギ花粉症の舌下免疫療法にはどのような効果がありますか？
A : スギ花粉症の症状の改善が期待できます。
誰でも根治するわけではありませんが、根治しなくても症状を和らげ、長期にわたり症状をおさえる効果が期待できます。
Q : スギ花粉以外の花粉症に効果のある舌下免疫療法はないのですか？
A : 現在(2023年時点)、日本で行うことができるのはスギ花粉のみです。
スギ花粉症への舌下免疫療法は2014年に保険適用となったばかりです。
ダニ舌下免疫療法（ミティキュア）のよくある質問
Q : どのように舌下免疫療法を行うのですか？
A：ダニのエキスを含んだ錠剤（舌下錠）を舌の下（裏）に置きます。
錠剤はすぐに解けます。約1分ほど置いておき、飲み込みます。
飲み込んだ後5分ほどはうがいや飲食はできません。
これを1日1回自宅で行います。
Q : いつから治療を始めるのですか？
A : アレルギー検査を行い、問題がなければいつでも開始できます。
スギ花粉症を合併している方は開始時期によって効果のあらわれ方や、安全性に問題があるため治療開始時期を5～12月に限定しています。
治療開始にあたっては必ずアレルギー検査を行います。
Q : 通院はどうなるのですか？
A : 定期的な通院が必要です。
初回と１週後の増量時は副反応が出ないか確認するため医療機関を受診ください。
治療開始後しばらくは2週間ごとに通院していただき、安全性に問題がなければ月に1度の通院となります。
Q : どんな副作用（副反応）がありますか？
A : 最も多いのが、口の中のかゆみ、違和感、口の中の腫れなどの口腔内の症状です。
耳のかゆみを感じることもあります。
またアレルギー物質であるダニのエキスを服用いただくため、くしゃみ、鼻みずなどのアレルギー性鼻炎症状も出やすくなります。
治療開始直後から1か月程度までに集中しますが徐々に改善していきます。
Q : ダニ以外のアレルギー性鼻炎への効果はありますか？
A : ハウスダストには効果があると言われています。
しかしそれ以外が原因となるアレルギー性鼻炎には効果がありません。
舌下免疫療法のよくある質問
Q : 舌下免疫療法はどのように治療を行うのですか？
A : 1日1回、少量の舌下錠の服用から始まります。
１週間後に維持料に増量しこれを3～５年間にわたり継続します。
初めての服用および、維持量へ増量時は医療機関で医師の監督のもと行います。
問題なければ以後は自宅で服用します。
服用しない間隔が長くあくなど、服用したりしなかったりを繰り返すと、効果が期待できないだけでなく、安全性に問題があるため、再度医療機関を受診し医師にご相談ください。
Q : 投薬時間は決まっていますか？
A : 投薬時間はいつでも構いません。
初めての服用及び増量時は医療機関で医師の監督のもと行います。
症状が問題なければ以降は自宅で服用します。
Q : 治療を開始する時期は決まっているのですか？
A : ダニアレルギー性鼻炎に対してはいつでも開始できますが、当院ではスギ花粉のシーズン1～5月をなるべく避けております。
スギ花粉症を合併している方はスギ花粉の飛散が始まる直前や飛散時期では副反応が出やすい傾向にあります。
治療開始にあたっては必ずアレルギー検査を行います。
スギ花粉症の発症の可能性が全くない方については、ダニアレルギー性鼻炎に対する舌下免疫療法はいつでも開始できます。
Q : スギ花粉とダニアレルギー性鼻炎の両方がある場合はどのように治療するのですか？
A : 同時併用療法を行うことができます。
アレルギー体質の方はスギ、ダニの両方にアレルギーを有する方も多く、どちらの治療を先に開始するかは、それぞれの患者様のアレルギーの強さ、開始希望時期などを考慮して決定します。
スギ花粉症、ダニアレルギー（通年性アレルギー）のどちらに、より悩まされているか、日常生活に支障をきたしているかも含めて判断します。
当院では患者様それぞれのお悩みに合わせて相談しながら決定していきますので医師にご相談ください。
check_circle毎日の服用により症状が出にくい体質に変えていく、唯一のアレルギーの根本的な治療法です。当院では本人・家族・クリニックが一体となって、アレルギー症状を改善できるようサポートしていきます。※舌下免疫療法についてはこちらもご参照ください。
