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鼻の病気について

正常な鼻粘膜

鼻は、呼吸を行う気道の一部として機能しています。気管支や肺(下気道)にきれいな空気を届けるために、換気扇のフィルターの役目をしています。また、下気道を保護するために、加温・加湿を行なっています。
声を出すときに、声を響かせる共鳴作用もあります。そのほか、臭いを感じ取る嗅覚(きゅうかく)があります。

鼻が悪くなると、「くしゃみ」、「鼻水」、「鼻づまり」、「鼻声」、「臭いがしなくなる」などがおきます。
これには、鼻かぜ(急性鼻炎)や、アレルギー性鼻炎、副鼻腔(ふくびくう)炎などがあります。

耳と同じで、お子さんが小さなおもちゃを鼻に入れ、とれなくなって来院されることもあります。

1.アレルギー性鼻炎

アレルギー性鼻炎とはどんな病気?

アレルギーとは?

ある特定のアレルギーの原因物質(抗原)に対する抗体が体の中で作られた後、再びそのアレルギー物質にさらされたとき、原因の物質を体から排除する反応が起きます。防御機能(免疫)が過剰に反応したのがアレルギーということになります。

アレルギーが起きた体の場所によって名前がつきます

鼻に起こったアレルギー反応がアレルギー性鼻炎で、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどが起きます。
皮膚はアトピー性皮膚炎、目はアレルギー性結膜炎、口は口腔アレルギー症候群。
それぞれかゆみやはれが出ます。
のどでは喉頭(こうとう)アレルギーとして咳やのどのかゆみやイガイガが起きます。
気管支では喘息としてせきが出たり、気管支の粘膜がはれることで呼吸するときにヒューヒューと音がしたり、呼吸困難が起きることもあります。

原因の物質によるアレルギーが起きる時期

ハウスダストやダニなどを原因として症状が1年中ある「通年性」と、植物の花粉を原因とした花粉症などのようにある一定の時期だけ症状が出る「季節性」があります。

原因物質(抗原)

アレルギーの原因となる物質(抗原)として、日本で最も多いのは通年性のハウスダスト・ダニです。
家の中で、ふとん、まくら、たたみ、じゅうたん、カーペット、カーテン、押入れ、タンス、エアコンの中などに多く存在します。
大掃除や、服の入れ替え、エアコンの使い始めなどの時に症状が出やすいです。
ダニは夏場に増え、秋に死んでいき、この死骸を吸い込むことで症状が悪化するため注意が必要です。

季節性のアレルギーとしては、春(2月中旬から3月にかけて)のスギ花粉症が有名ですが、4月から5月のヒノキ花粉、初夏のカモガヤ(イネ科)花粉、秋のブタクサや、ヨモギ花粉など、他の時期にも花粉症があります。
湿気の多い季節にはカビ(真菌)、ペットを飼っているご家庭では、イヌやネコのフケなども原因となります。
どの物質に反応するかは、血液検査を行い、抗体が存在するかで調べることができます。
何にアレルギーが起きるのか、いつアレルギーが起こりやすいのかをご自身で確認して対策を立てることも大切ですので、検査をご希望の方は、当院医師にご相談ください。

治療方法

アレルギーを抑えるための治療方法は、まず内服の治療です。
飲み薬の他に、鼻には点鼻薬、目には目薬(点眼薬)、皮膚には塗り薬があります。
抗ヒスタミン薬(鼻水やかゆみ止め)、抗アレルギー薬(アレルギー反応を起こす化学物質の分泌を抑える薬:鼻づまりにも効果があります)、ステロイドの点鼻薬等を主に使用しています。
ハウスダスト、ダニを原因とした通年性アレルギー性鼻炎の場合、鼻の粘膜がはれてしまい、鼻づまりをきたすことが多く、鼻の粘膜のはれを抑える薬も処方します。

花粉症などの季節性アレルギー性鼻炎では、くしゃみ、鼻水、かゆみが主症状のことが多く、鼻水、かゆみを抑える抗ヒスタミン剤を処方します。
当院ではこれらの薬を、患者さんそれぞれの症状に応じて使い分け、改善を図ります。
また、患者さんごとのライフスタイルに合わせ、薬の強さや眠くなりやすさなどを考慮に入れて処方しています。
鼻水を吸い出して、ネブライザーの吸入を行うと、薬液が直接粘膜に届くため、より高い効果が期待できます。

またアレルギーの原因となる「アレルゲン」を少量から投与し、体を慣れさせることでアレルギー症状を和らげる「舌下免疫療法」を受けて頂くことも可能です。

ご注意いただきたいこと

お薬の服用や、通院による治療でうまくアレルギー症状をコントロールすれば快適な生活が可能です。
また、ご家庭ではマスクをつけた上で、ふとん、じゅうたんなどにこまめに掃除機をかけたり、エアコンのフィルターの掃除をすることも大切です。
季節の変わり目に押入れやタンスから衣類を出す時には、一度洗ってから着始めるのも良いでしょう。

当院では眠くなりにくいお薬、値段が安いお薬、貼るタイプのお薬、1日1回の服用でよいもの、授乳中でも使えるものなど、それぞれの患者様のニーズに合った治療法を提案させて頂きます。

2.花粉症

花粉症とはどんな病気?

花粉症の特徴はくしゃみ、水様性鼻水、鼻づまりです。風邪もひいていないのにくしゃみ、鼻みず、鼻づまりが生じます。
アレルギーを起こす花粉によって発症する期間は人によって異なります。
症状が1年中ある方とある特定の季節に症状がある場合とがあります。
花粉が鼻の中に入ってくると、体が要らないものだと判断して、くしゃみで吹き飛ばし、鼻水で洗い流そうとします。
さらにそれがひどくなると、鼻をつまらせて入ってこないようにしてしまうのです。
このような症状が花粉によって過剰に起こる状態を「花粉症(=季節性アレルギー性鼻炎)」と呼んでいます。
原因となる花粉は、スギ花粉、ヒノキ花粉、イネ科花粉、ブタクサ花粉、などがあります。

治療方法

最も一般的に行われているのが薬物療法です。
内服薬、点鼻薬、目のかゆみの強い方には点眼薬などを主に使用します。
症状の程度によっては内服薬を数種類、使い分けていただきます。

ご家庭でできる花粉症対策

  1. スギ花粉の場合はテレビ、インターネットなどの花粉情報に注意しましょう。
  2. 飛散の多い時は外出を控え、外出時にマスクやメガネを使いましょう。
  3. 飛散の多い時は窓や戸を閉め、換気する時は小さく窓を開け、短時間だけにしましょう。
  4. 飛散の多い時はふとんや洗濯物の外干しは避けましょう。
  5. 表面がけばだった毛織物などのコートの使用は避けしょう。
  6. 帰宅時は衣服や髪をよく払ってから入室し、洗顔、うがいをし、鼻をかみましょう。
  7. 掃除をこまめに行い、特に窓際を念入りに掃除しましょう。

3.急性鼻炎(鼻かぜ)

急性鼻炎(鼻かぜ)とはどんな病気?

一般には鼻かぜと言われています。
鼻の中にかぜのウイルスや細菌等が入り、鼻の中に炎症が起きた状態で、鼻の中が赤く腫れてしまい、鼻水、鼻づまりなどが起きます。

治療方法

鼻水を吸いだす吸引処置、ネブライザーおよび吸入を行い、鼻水を抑えるお薬、鼻の粘りを取るお薬、抗生物質などの内服薬を組み合わせて治療を行います。

ご注意いただきたいこと

鼻水が続く間は、こまめに通院し、鼻水をしっかり吸いだし、ネブライザーの吸入を行うことが大切です。
特に膿性の鼻水が続いたり、においが分かりにくくなっている場合は注意が必要です。
中途半端なまま治療を中断することにより、蓄膿症(慢性副鼻腔炎)や、耳が痛くなる急性中耳炎や滲出性中耳炎などになることもあります。

きちんと通院してしっかり薬を飲んで最後まであきらめず根気よく治療しましょう。
鼻水やせきは、細菌やウイルスを体から追い出すための防御反応です。
また発熱も細菌やウイルスをやっつけるための体の防御機能として働いている結果です。
当院では、鼻水や咳、痛み、発熱などの状況に合わせて、症状に応じて、咳止めや鼻水止め、抗生物質、解熱鎮痛剤を使用いただくように処方いたします。

4.副鼻腔炎

副鼻腔炎とはどんな病気?

鼻腔の周辺には副鼻腔(ふくびくう)と呼ばれる大小の空洞があり、この副鼻腔の粘膜が風邪のウイルスや細菌等で炎症を起こし、腫れてしまい、この空洞の中に膿がたまった状態を、ちくのう症(副鼻腔炎)といいます。
症状は頭痛、顔面痛、長引く痰、後鼻漏、鼻水、鼻づまりなどです。
風邪をひてから急に起こるものを急性副鼻腔炎と言い、急性副鼻腔炎が治らず慢性化したものを慢性副鼻腔炎(いわゆる蓄膿症)と言います。
最近はアレルギーが関与した副鼻腔炎も増えています。

症状

黄色や緑色の膿性の鼻水、鼻づまり、頭痛、顔面痛、長引く痰、後鼻漏、頬の痛み、嗅覚障害などです。

治療方法

当院では鼻水を吸いだす吸引処置を行い鼻の粘膜のはれを抑えてから、ネブライザーの薬液が副鼻腔に到達しやすいようにして吸入していただきます。
鼻水を抑えるお薬や粘りを取るお薬、抗生物質などの飲み薬を組み合わせて治療を行っていきます。
強い抗菌剤を短期間飲み、細菌数を減らしてから、マクロライドの抗菌剤に変更していきます。
その後は通常の内服量の半量で治療を続けて行きます(マクロライド少量長期療法)。
治療完了には、約3ヶ月から半年ほどかかります。
当院では治療開始前に副鼻腔の状態をレントゲンで確認し、患者様に副鼻腔の状態が改善していることを再度きちんと確認していただいた上で治療を終了いたします。

ご注意いただきたいこと

通院頻度をしっかり守ってください。
途中で通院を止めると、さらにひどくなる場合もあります。
きちんと通院してしっかり薬を飲み最後まであきらめず、根気よく治療を行うことが大切です。

5.後鼻漏(こうびろう)

後鼻漏(こうびろう)とはどんな病気?

後鼻漏とは、鼻みずがのどの奥に流れるのが主な症状です。
鼻をかんでも鼻みずがのどの奥へと流れ、さらに鼻みずでのどが刺激され、また、その中に含まれる細菌やウイルスがのどに付着することで、のどの炎症が起き、痰がからんだ咳やのどの痛みが起きることがあります。
長引く咳の原因が後鼻漏である場合もあります。

後鼻漏の原因は、ネバネバの鼻水が出る急性鼻炎や副鼻腔炎などが多いです。
花粉やハウスダストなどによって鼻粘膜が刺激されるアレルギー性鼻炎が原因となることもあります。

治療方法

後鼻漏の原因となる急性鼻炎や副鼻腔炎を治療することで症状を改善し咳が治まります。
副鼻腔炎が原因の場合は抗生物質(初期にはペニシリンやセフェム系、落ち着いてきたらマクロライド系)や、去痰剤を使用します。
アレルギー性鼻炎が原因の場合は抗アレルギー薬や抗ヒスタミン剤が効果的です。
鼻水を吸い出す吸引処置やネブライザーを行うのも効果があります。

ご注意いただきたいこと

乾いた空気は鼻やのどの粘膜を乾燥させてしまうため、適度な湿度を保つことが大切です。
後鼻漏の鼻みずは粘性が高いためこまめに水分をとり、鼻みずをさらさらにしましょう。
またのどにたれる鼻水を、うがいや鼻洗いで取り除くことも大切です。
当院ではお子様でも使えるような鼻洗いのお薬もありますので医師にご相談ください。

6.嗅覚障害

嗅覚障害とはどんな病気?

においは鼻の奥の方にある嗅粘膜という特殊な粘膜で感知します。嗅覚障害はにおいを感じる経路のどこかで障害が起こることにより生じ、においがしない、においが弱くなった、どれもこれも同じようなにおいに感じる、においの質が変わってしまったなどの症状がみられます。

副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎、鼻中隔湾曲症などが原因となって、においが嗅粘膜に届くルートが遮断されることによっておこるもの、感冒などのウイルス感染症や薬剤の影響などにより嗅神経自体が障害を受けるもの、脳挫傷や脳の病気(脳出血、脳腫瘍、脳梗塞など)が原因となるもの、パーキンソン病やアルツハイマー型認知症などの神経変性疾患に嗅覚障害が合併することもあります。
嗅覚障害を感じる患者様の約50%が鼻炎や副鼻腔炎の方、20~25%が感冒後嗅覚障害の方です。
また15%程度の方が原因不明と言われています。

治療方法

原因によって治療法が異なります。
アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎が原因と考えられる場合にはそれらの治療を行うことにより嗅覚障害が治るかをみていきます。
鼻洗浄や点鼻薬、内服薬の処方で効果がない場合は手術による治療をすすめることもあります。
好酸球性副鼻腔炎と言う難治性の副鼻腔炎が原因で起こる嗅覚障害は治りにくく、手術などの後も定期的な内服や再手術を要することもあります。

風邪などのウイルス感染をきっかけにおこす感冒後嗅覚障害に対しては、漢方薬やビタミン剤等の内服が行われていますが、近年は嗅覚刺激療法というリハビリテーションが最も有効であるとされています。
嗅覚刺激療法の効果については2009年にドイツのHummel先生により報告され、欧米では嗅覚刺激トレーニングキットが広く販売されています。

Effects of olfactory training: a meta-analysis - PubMed (nih.gov)

The Olfactory Training Kit (olfactorykit.com)

感冒後嗅覚障害は治療を長期間頑張って続けることで治っていくことのある疾患ですので、根気よくリハビリテーション(嗅覚刺激療法)を続けていくことが大切です。

7.鼻出血(びしゅっけつ)・鼻血

鼻出血(びしゅっけつ)・鼻血とはどんな病気?

鼻出血(鼻血)とはなんらかの原因で鼻から出血を起こす病気です。
大半は鼻の入り口付近のキーゼルバッハと呼ばれる部位から出血が起こります。
止血方法として一番有効な方法は出血している部位を鼻の上から圧迫することです。
ほとんどの場合は数分から10分以内に止まります。

ティッシュペーパーなどを鼻の入り口に詰めて止血すると、鼻の粘膜がこすれて傷が増えてしまうこともあり、止血後にティッシュペーパーなどの詰め物を取る時に再出血する場合がありますのでお勧めしません。
鼻血がなかなか止まらず出血が多い場合や鼻の奥からのどへ流れるような場合は早めに耳鼻咽喉科w受診することが必要です。

ご注意いただきたいこと

たくさん出血しているようにおもわれますが、鼻出血(鼻血)の場合、それほど多く出血していないことが多いです。
落ち着いて小鼻をしっかり指で押さえることが大切です。

お子様の場合、鼻をかんだり触ることにより、鼻の入り口が傷ついて鼻血がでることがほとんどです。
鼻水をとめる薬等をつかいながら鼻の調子を整えていくことで鼻血は出なくなりますので、当院医師にご相談ください。

8.鼻中隔彎曲症(びちゅうかくわんきょくしょう)

鼻中隔彎曲症(びちゅうかくわんきょくしょう)とはどんな病気?

鼻中隔とは鼻腔を左右に分ける真ん中の仕切りのことです。
外見からではわかりませんが、大人の鼻中隔は左右どちらかに彎曲して(曲がって)いることが多いです。
日常生活を送るうえで支障がない彎曲であれば問題はありませんが、鼻中隔の彎曲がひどく鼻がつまって苦しい方は、鼻中隔彎曲症として対応します。

特に、急性鼻炎(鼻かぜ)、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎を併発している場合、鼻づまりがひどくなったりします。
また、いびきの原因の一つになっていることもあります。

治療方法

鼻中隔彎曲症は鼻中隔という軟骨・骨が彎曲して起こるものです。
鼻づまりを改善するためには点鼻薬等で治療を行いますが、対症療法ですので根本的な治療ではありません。
鼻中隔彎曲症を根本的に治療するためには「鼻中隔矯正術」という手術が必要となります。
この手術は彎曲している鼻中隔の軟骨と骨を除去する手術です。
その結果、左右の鼻腔の隔壁の一部は粘膜のみとなります。

手術までご希望されない方は、急性鼻炎、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎などの治療を行うことで、症状が緩和される場合もあります。
他の治療でどうしても改善が得られない方には手術的治療も選択肢の一つとなりますが、当院ではこの手術を行っておりませんので、提携の病院をご紹介させていただきます。

9.鼻骨骨折

鼻骨骨折とはどんな病気?

鼻の形を構成している、鼻の骨が鼻骨です。
スポーツなどで、鼻を硬いものにぶつけてしまった場合など、何らかの衝撃が鼻に加わることで、鼻骨が骨折してしまうことがあります。
鼻骨骨折は顔の外傷の中で、一番多い骨折です。

鼻骨骨折の症状

  • 鼻が痛い
  • 鼻の外観が変形している
  • 鼻が腫れている
  • 鼻出血(鼻血)
  • 鼻づまり
  • においがわからない

などが挙げられます。

検査、治療方法

鼻の変形や、それに伴なう鼻づまり、においがわからないなど、鼻の外観や機能に問題があれば、曲がったり、つぶれてしまった鼻の形をできるだけ元の形に修正する、整復術が必要になります。
骨折してから1週間(小児は4~5日)も経過すると、そのままの形で固まってしまうため、CT検査や、整復術の適否を含め、早期に提携している病院へご紹介をさせていただきます。

なお、整復術は骨折して痛い鼻を元に戻さなくてはならないため、痛みを伴う治療です。
整復術のあとは、出血防止、再度変形が起こらないようにするために、数日間鼻の中にガーゼをつめ、鼻の外側にプレートをあてて固定します。
鼻の変形がなく、鼻づまりやにおいがわからないなどもなく、鼻の外観や機能に問題がない場合には、鼻骨骨折があっても、整復術を行わず、骨の修復能力で自然に固まって治るのを待ちます。
その他、鼻出血(鼻血)には止血処置および止血剤の内服を行い、痛みに対しては鎮痛剤の内服で対応します。

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