アレルギー疾患の治療
アレルギー疾患について
鼻(上気道)も気管(下気道)もひとつづきの気道であり、鼻炎(鼻のアレルギー)も喘息(気管のアレルギー)もひとつの疾患と考えられており、One airway, one diseaseといわれています。喘息患者の80%にアレルギー性鼻炎が合併しており、慢性副鼻腔炎には睡眠時無呼吸症候群や気管支拡張症が高率に合併しています。
呼吸器科と耳鼻咽喉科の疾患は密接に関連しており、当院ではこれらの疾患を上気道、下気道の専門家である呼吸器内科専門医と耳鼻咽喉科専門医が協力して治療にあたることにより質の高い医療を提供いたします。
当院では喘息をはじめとしたアレルギーの診断・治療に力を入れています。
1.アレルギー性鼻炎
アレルギー性鼻炎は、様々なアレルギー原因物質(ハウスダスト・ダニ・花粉などのアレルゲン)によって、免疫反応がおこり、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの症状がおきます。喘息やアトピー性皮膚炎とも大きく関連しているといわれています。アレルギー性鼻炎は、アレルゲンによって大きく二つに分けられ、ダニやハウスダストが原因であると、1年中症状があるため通年性アレルギー性鼻炎と言われています。一方で原因が花粉の場合は、一定の季節にだけ症状がおこるため、季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)と呼ばれます。
アレルギー性鼻炎の割合は、国民の4人に1人と言われており、年々低年齢化が叫ばれ。学童期前に発症する方も増加しています。
check_circle小児はくしゃみなども少なく自覚症状を訴えないため、鼻汁や鼻閉など保護者にも見逃されがちです。鼻をいじる、こするなどの様子が見られたら当院を受診ください。早期に治療を開始するほど治療の効果が期待できます。
check_circleアレルギーは治らないと諦めないでください。根治的治療を含め様々な治療法があるため、患者さまひとりひとりに合う治療を提案いたします。
2.花粉症
アレルギー性鼻炎のうち花粉が原因のものを花粉症と呼びます。症状はくしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどです。
原因となる花粉はスギ、ヒノキ、イネ、ヨモギ、ブタクサ、ハンノキなど様々です。日本人の4人に1人はスギやヒノキの花粉症といわれ、いまや国民病といわれています。当院では適切な検査、診断を行ったうえで、患者さまひとりひとりに合う治療を提案していきます。
当院での検査・診断の流れ
アレルギーの診断は、症状の出方や環境因子、家族歴などで原因を絞っていくことが重要です。その上で採血検査(特異的IgE抗体)も参考にして、原因の除去および症状対応を行います。
- 問診および病歴の確認
症状の程度や現れ方、ご家族のアレルギー歴、生活環境などを確認していきます。 - 鼻内の観察
鼻の中を観察し、検査が必要かどうかを判断します。鼻汁を取り、アレルギーについて調べる鼻汁好酸球検査を行うこともあります。 - 血液検査
血液を採取して、花粉・ダニ・カビ・ハウスダスト・ペットのフケなどに対するアレルギー(特異的IgE抗体)を確認します。小さいお子様の場合、指先を専用チップで指先からぱちんとはじくことにより微量の採血で検査を行うことも可能です。 - 結果確認および症状対応の相談
検査結果により原因物質およびアレルギー体質の強さが分かっていると、個人個人のライフスタイルや年齢に合わせた治療が組みやすくなります。
治療法
アレルゲンの除去
花粉が多い時期には外出を避け、眼鏡やマスクを装着することにより花粉の暴露から防護することが重要です。
ダニやハウスダスト、カビアレルギーの場合は、原因物質(アレルゲン)は住宅環境にあるため、掃除や環境整備が大切になります。アレルゲンが増えにくい環境づくりと、増えてしまったアレルゲンを除去する掃除の2本柱と考えてください。
布団干しは、湿度を下げアレルゲンが増えにくい環境を作りますが、すでに繁殖してしまったダニの死骸などは十分に除去できません。
ダニアレルギーは、ダニの死骸や糞に反応するため、布団干しだけでは十分でないことが多いです。死骸の除去には掃除機をかけるのが最も効果的です。布団乾燥器などを日常的に使用して、徹底的に繁殖しない環境を作ることが重要です。
check_circleアレルゲンの除去は継続して行う必要があるので、無理なく継続できる方法を見つけることが大切です。
薬物療法
例年強い花粉症に困っている方には早めのお薬の治療をお勧めします。花粉飛散開始とともに、または症状が少しでも現れた時点でお薬治療を開始することが推奨されています。抗アレルギー薬は非常に多くの種類があり、内服薬(第2世代抗ヒスタミン薬、抗ロイコトリエン薬等)、点鼻薬、点眼薬、貼付薬など、細かいニーズに応えるものがたくさん開発されています。症状の内容や強さによってお薬を単独で使用する場合や併用する場合があります。これらの多くを使いこなせるためには医師の知識と経験が必要です。お住いの地域、花粉の飛散量、個人の過敏性によって症状が発現する時期や強さは違うので、専門の医師と相談して、個人個人に適した治療を選択することが大切です
check_circle当院では眠くなりにくいお薬、値段が安いお薬、貼るタイプのお薬、1日1回の服用でよいもの、授乳中でも使えるもの、などそれぞれの患者様のニーズにあった治療法を提案させていただきます。
アレルゲン免疫療法
「減感作療法」や「脱感作療法」とも呼ばれますが、アレルギーの原因となる「アレルゲン」を少量から投与し、体を慣れさせることでアレルギー症状を和らげる治療法です。
これまでアレルゲン免疫療法は治療薬を皮下に注射する「皮下免疫療法」が行われていましたが、近年皮下ではなく舌の下(裏)に治療薬を投与する方法「舌下免疫療法」が登場しました。
アレルギー症状を緩和したり、長期間にわたり症状をおさえる可能性がありますが、治療は年単位で長期にわたります。
check_circle当院では研修を受けた医師が、しっかりと効果・副作用の確認をしながら、アレルギー症状を根本から和らげるお手伝いをさせて頂きます。
3.アトピー性皮膚炎について
アトピー性皮膚炎は、アレルギー体質(アトピー素因)と、皮膚機能の異常がある場合に、様々な悪化因子が加わって発症します。
皮膚機能の異常というのは、乾燥肌がありバリア機能が落ちている、ということです。
バリアというのは体を保護している力で、健康な肌はしっかり皮膚の細胞がつまって、表面は自分の脂でコーティングして、外からいろんな異物や病原体が侵入するのをブロックしています。
ところが、アトピー性皮膚炎の方の多くは乾燥肌です。無防備なかさかさした肌は少しの刺激にも敏感に反応し、かゆくなったり赤くなったりかぶれたりします。
よく掻き壊しからとびひになったり、みずいぼが広がったりするのも、バリア機能がおちた皮膚によくあることです。
バリア機能の落ちた皮膚に身の回りのいろんなアレルゲンが侵入し、アレルギーのIgE抗体ができてくることを「経皮感作」といいます。
アトピー性皮膚炎の赤ちゃんに食物アレルギーを合併することはよくあるのですが、食物アレルギーがあるからアトピー性皮膚炎になるのではなく、アトピー性皮膚炎の皮膚状態の悪い状態が続くためいろんな食物アレルギーになっていく、ということが最近の研究で明らかになってきました。
生後2-3か月の早期からアトピー性皮膚炎をステロイド外用で治療すると食物アレルギー発症はないか、あっても軽くすみます。
湿疹があれば治療して早くきれいな状態にして、保湿をし、悪化因子が何かを分析し、のぞくことが大切です。
スキンケアが大事です
乾燥肌がアトピー性皮膚炎の発症につながります。
皮膚のうるおいを保つには、皮脂(皮膚の皮脂腺から分泌される脂)、角質細胞間脂質(皮膚の表面の細胞のすきまを埋めている脂、レンガの壁のしっくいをイメージしてください)、天然保湿因子(皮膚の表層にある低分子物質で水分をほじする性質あり)の3つの物質が必要ですが、アトピー性皮膚炎の方の皮膚にはいずれもこういう物質が不足していることがわかっています。
そのためそれを外から補うスキンケアがとても大切です。
スキンケアとは、皮膚を清潔にし、保湿をすることです。
これは、治療ではなく、皮膚のケアで、バリアー機能を正常に保つことが目的です。皮膚を刺激しない生活の工夫も必要です。
アトピー性皮膚炎の方が気を付けること
- 汗をかいたり、汚れがついたらすぐ落とす・洗ってください。
- 爪は短く切り、手も清潔にしてください。
- 衣類は吸湿性の良い、肌触りのよいものを選んでください。
- 髪の毛が額や首にかからないようにしてください。
- 赤ちゃんは、口の周りが、よだれやゆびしゃぶりをすることで湿疹ができ、悪くなるので、よく口まわりをふいて、保湿剤をこまめに塗ってください。
- 1日1回は入浴し、石鹸を使って洗ようにしてください。ただし、石鹸は洗浄力の強すぎないものを泡立てて、手でやさしく洗うようにしてください。
- 入浴は熱いお湯であたたまりすぎないようにしてください。
- 入浴後に保湿・保護のための十分保湿剤を塗ってださい。
保湿剤は、白色ワセリンがよく使われますが、クリームタイプ、ローションタイプなどもあります。
保湿剤をたっぶり使うことが大切です。
アトピー性皮膚炎とのつきあいかた
アトピー性皮膚炎はいろんな原因が複雑に関係しているので、よくなるのに時間がかかり、一進一退を繰り返すこともあります。
根気が必要ですが、アレルゲンを除去し、塗り薬を上手に使い、スキンケアを続けると、次第によくなっていきます。
スキンケアと保湿は、日常生活の中で継続することが大切です。最近は皮膚の炎症が強い状態が続くと、皮膚からいろんな物質が侵入し、食物をはじめとする様々なアレルギーが進むことがわかっています。
乳児でも早くにステロイド軟膏を使って皮膚状態を改善することが学会のガイドラインでも推奨されています。
4.食物アレルギーについて
食物アレルギーの起こす理由について
食物アレルギーとは食べたものによってアレルギー反応が起こることで、「原因食物を摂取した後に免疫学的機序を介して生体にとって不利益な現象(皮膚、粘膜、消化器、呼吸器、アナフィラキシーなど)が惹起(じゃっき)される現象」とされています。
食物アレルギーは、乳幼児に多く、年齢とともに治ってくることがほとんどです。
生まれたばかりの乳児は、消化吸収機能が未熟で、口から摂取したたんぱく質を十分に分解できません。
また、腸管の粘膜上で働く免疫物質も不十分なため体を守ることができません。
そのため早くからアレルギーをおこしやすいたんぱく質が入ると、アレルギー症状を起こすようになるのです。
しかし成長とともに消化吸収能力が発達し、免疫物質が増えてくると、食べてもアレルギー症状が起きにくくなってきます。
多くの食物アレルギーのお子さんたちにとって、食べられない時期は乳幼児の間です。
しかし重症の食物アレルギーの方では小学校に入学するころになっても給食が食べられなかったり、ピーナッツや小麦など、食品によっては成長してもよくならない強いアレルギー症状を起こす場合もあります。
何を、いつから、どのくらい食べられるようになるかは、個人個人によって全く異なります。
食物アレルギーの実際
食物アレルギーの有病率は、大人で1~2%、乳児では10%を超えるといわれています。
小中学生では最近の検査で4%を超えると報告されています。
しかしアレルギーといっても軽いものから、命にかかわるようなアナフィラキシーを起こすものまでさまざまです。
アレルギー症状はさまざまです。
皮膚では、湿疹、かゆみ、じんましんがおきます。
唇が腫れたり、口の中がぴりぴりしたり、のどが苦しくなったりもあります。
また、腹痛、嘔吐、下痢など消化器症状や咳、喘息など呼吸器症状もあります。
全身にアレルギー症状が及ぶことをアナフィラキシーといいます。
呼吸困難や血圧低下がおこるのをアナフィラキシーショックといい、ときに命にかかわることもあります。
アナフィラキシーをおこす食品は完全除去が必要です。
アレルギーを起こす原因物質をアレルゲンといいますが、6歳までは、卵、牛乳、小麦が3大アレルゲンです。
6歳以降になるとこれらの食品はアレルギーが治って食べられるようになっていくことが多く、魚類、ナッツ、甲殻類、果物などが増えてきます。
検査だけでは診断できないため、実際に食べたときの症状や食物負荷試験(医療機関で食品を食べて反応を診る検査)で食べられるもの、食べられるものをきちんとわけて、最低限の除去食を指導していきます。
乳児でも栄養不足にならないように離乳食を進めていくことが必要です。
食物アレルギーの診断と食物負荷試験
食物アレルギーの診断は、皮膚検査、血液のアレルギー検査、それから実際に食べたときの反応などをあわせて、総合的に行います。
しかし血液検査で陽性に出たからといってアレルギー症状があるとも限りません。
アレルギーのスコアが低くてもアナフィラキシーをおこす人がいる一方で、スコアが高くても、普通に食べられる人もいるので、食物アレルギーの診断は難しく、確実な診断法は食物負荷試験です。
医療機関で、アレルゲン食品を食べて、実際にどのような症状が出るか、2~3時間様子を診ます。
食物負荷試験の大きな目的は(1)本当にその食品がアレルゲンか、確認する、(2)どのくらいその食品を食べられるのかその量(閾値)を調べる、(3)本当にアレルギーがよくなったか確認する、です。
小さいころアナフィラキシーをおこして除去食にしたまま何年もたつのに検査もせずにあるいは検査でよくなっているのに除去を続けている患者さんが時々来られますが、病院で食べてみると何も起きずに、治っておられる方もおられます。
アレルゲンとなる食品を少量から食べて大丈夫なのを確認して食べて慣れて治していく治療(経口免疫療法)が行われることもあります。
食物除去療法について
- アレルギー症状をおこす食品で除去しなければならない食品とその範囲を決めます。
- 食品によっては加熱したり、回数や量を減らすことで食べられるものもあります。
- 離乳食は遅らせず、5~6ヶ月頃から開始します。
- 皮膚がきれいであれば、加熱した卵黄も少しずつ開始していきます。
- 同じものばかり続けてとらずにいろんな食材を使うようにしてください。
食物アレルギーと診断された赤ちゃんのうち、3歳までに3人中2人が、12歳までに10人中9人がよくなります。
食事の除去はだんだん必要がなくなってくることが多いため、気長に長続きするような方法で食事づくりを工夫してください。
卵、乳、小麦、えび、かに、落花生、そばの7品目は、加工品に含まれる場合表示が義務づけられています。
最近は大手食品会社が、アレルギー用の食品、調味料など味に工夫して開発しています。
ストレスをためないよう上手にこういうものを利用するのも良いでしょう。
アナフィラキシーの対応
気をつけていても思いがけなくアレルゲン食品が体内に入ることがあります。
急速に皮膚の赤みやかゆみ、腫れがおこったり、嘔吐したり、咳や喘息発作がおこる場合はアレルギー反応です。
二つ以上の反応がおきれば、アナフィラキシーといいます。
もし、抗アレルギー剤が手元にあれば、すぐ飲みましょう。
局所的な皮膚症状だけでおさまってくればいいのですが、症状がおさまらず進行する場合、呼吸器症状がある場合は救急車で病院を受診してください。
重症の食物アレルギーでアナフィラキシーを何度もおこす方のためには、エピペンという、アナフィラキシーの治療薬のアドレナリンの自己注射が健康保険で処方できます。
3歳以上あるいは体重15kg以上で、アナフィラキシーを起こすような食物の除去が必要なお子さんには処方しています。
経口免疫療法について
以前は、IgE RAST価の高い食物アレルゲンは、数値が下がるまで除去して待つのが主流でした。
しかし、いつまでたってもIgEが下がらないアレルギー体質の強い子もふえてきて、その中に、普通に食べられる子も多いことがわかってきました。
そして少しずつ食べ始めていくと、IgE RAST値がだんだん下がってきます。
これは経口免疫療法(減感作療法)といって、少しずつ慣らしていって感作を減らす(アレルギーをよくする)という治療法です。
ただし自己判断で治療をしていくのは難しいため医療機関に相談して下さい。
口腔アレルギー症候群
これは比較的最近注目されてきたアレルギーです。
口腔アレルギー症候群(Oral Allergy Syndrome: OAS)といい、その特徴は、
- 原因食物の口腔粘膜への接触性じんましんなので、症状は、口腔・咽頭(口の中とのど)に限られます。
- 原因食物は、果実・野菜が多いです。
- 花粉症やラテックス(天然ゴム)アレルギーに高頻度に合併します。
です。
バラ科の果物であるリンゴ、モモ、サクランボ、ナシなどを食べると、唇が腫れる、のどがいがいがする、のどがかゆい、気持ち悪い、のどがしめられる感じがして苦しい、というような訴えでわかります。
ふつうは口の中やのどの粘膜だけで終わるのですが、まれに皮膚のじんましんやくしゃみ、鼻水、呼吸困難などを起こすこともあります。
調べてみると、こういう果物のIgE 抗体や皮膚のプリックテストが陽性で、それと同時に共通アレルゲンであるシラカバ花粉のアレルギーであることもわかります。
そのほか、天然ゴムであるラテックスアレルギーはバナナと共通抗原性を持っています。
バナナを食べると吐いたり唇が腫れる、というお子さんがおられますが、ゴム風船を膨らましたら口がぱんぱんに腫れる、ということになります。
花粉症の患者さんが増えるにつれ、この病気も増えてきています。
食物依存性運動誘発アナフィラキシー
(Food Dependent Exercise-Induced Anaphylaxis:FDEIA)
特定の食品(小麦や甲殻類が多いのですが)を摂取して2時間以内に運動をするとおこるアナフラキシーで、学童生徒の12000人に1人の割で存在するといわれています。
運動前に原因食品を摂取しない、摂取後2時間は運動しない、ということで予防できるのですが、起こればアナフィラキシーの処置が必要です。
運動系の部活をする子どもたちには深刻な問題で、学校現場の理解も必要です。
また、エビや小麦が多いのですが、原因が特定できない年長児の運動がらみのアナフィラキシーも増えていて、専門医でも難しい場合もあります。
食物蛋白誘発性胃腸炎(消化管アレルギー)
食物蛋白誘発性胃腸炎は、最近増えてきて注目されている食物アレルギーです。
現在では毎年約2000人の乳幼児が新たに発症しているとされています。
今まで問題になっていた食物アレルギーの多くは、ある食べ物を口にした後、数分から2時間以内に蕁麻疹や呼吸の苦しさなどの症状が生じるもの(即時型といいます)です。
このような即時型の食物アレルギーは、食物に含まれるアレルゲンとlgE抗体が結合することで起こります。
血液検査での食物のlgE抗体値が診断の助けになります。
一方、食物蛋白誘発性胃腸炎は、消化官にのみ炎症がおこるものです。
食べて数時間あるいは数日間たって胃や腸などの消化官に限局して嘔吐や下痢の症状が現れます。
この病気の発症にlgE抗体は関与しておらず、細胞性免疫が重要と考えられています。
皮膚症状や呼吸器症状は起こらず、血液検査でも異常がないため、問診と負荷試験で診断します。
現在では、5歳までに9割弱の患者で原因食物を摂取しても症状が出ない状態になっていくと言われています。
1歳を過ぎたら半年おきくらいに、よくなっているかの負荷試験を行います。