One airway, one disease(一つの気道、一つの病気)
上気道を制するものが下気道を制する
気道とは、鼻・副鼻腔からはじまり肺・気管支まで続く「空気の通り道」のことです。そのうち声帯の手前までを上気道、声帯から先、肺までを下気道といいます。上気道、下気道とも、気道上皮、つまり空気が通る道の壁の部分は、組織学的に同じです(鼻の粘膜と気管支の粘膜は同じような構造)。そのため、鼻からのど、更に気管支へと、空気が通る道(気道)は共通して病気が起こりやすいのです。そのため上気道に病気があると、下気道にも同じような病気が存在している。また、上気道の症状が改善してくると、下気道も改善してくると考えられています。
最近の統計によると、気管支喘息の患者さんの約70~80%にアレルギー性鼻炎が合併していると言われています。また慢性副鼻腔炎の患者さんの約70%で、慢性閉塞性肺疾患(COPD)や気管支拡張症を合併しているとも言われており、特に症状がない方でも慢性副鼻腔炎の患者さんの肺機能は低下していると報告されています。‟one airway, one disease”の考え方によれば、鼻と気管支のアレルギーは同時に治療した方が、より治療効果が高いということになります。アレルギー性鼻炎を合併している気管支ぜんそくの患者さんに鼻炎の治療を同時に行うと、鼻炎を治療しなかった患者さんに比べて、ぜんそく発作を起こして薬を余分に使う頻度や救急外来の受診回数が減り、結果としてぜんそく治療に要した治療費が少なくて済んだという報告が、多くの国からなされていす。
上気道、下気道それぞれの領域において専門性をもつ耳鼻咽喉科専門医と呼吸器専門医が協力して、当院ならではのハイレベルな医療を提供いたします。