慢性咽頭炎に対する上咽頭擦過療法(Bスポット療法)
上咽頭は鼻の一番奥、鼻とのどの境目にあたる部位です。のどちんこ(口蓋垂)の後上方に位置するため、口を開けた際には見えない部分となります。
上咽頭は呼吸に伴い空気が通過するため、空気中のホコリや細菌、ウイルスが付着しやすく、炎症を起こしやすい部位ですまた、免疫機能を司る部位でもあります。
「鼻咽腔(Biinnku)の頭文字をとって、元東京医科歯科大学耳鼻咽喉科教授の堀口申作先生が「Bスポット」と命名されました。
上咽頭に慢性の炎症が起こると、頭痛、肩や首のこり、のどの違和感、慢性的なのどや鼻の痛み、慢性的な痰のからみ、鼻からのどに鼻水が流れる(後鼻漏)、疲労感、めまいといった様々な症状を引き起こすとされています。
check_circle様々な薬物療法を行ってものどの違和感や改善がない場合、慢性上咽頭炎が存在する可能性があります。当院にご相談ください。
Bスポット療法 とは
鼻からファイバースコープを挿入し、上咽頭炎の有無を確認します。
炎症を認めた場合に、上咽頭に消炎作用と殺菌作用をもつ塩化亜鉛という薬剤を直接塗布する治療法がBスポット療法(EAT)です。
実施時間は約1分程度と長くありませんが、炎症を起こしている部分に薬剤を塗布するため、しみるような痛みを感じます。
治療効果を確認しながら、まず週に1~2回のどにお薬を塗る治療を行っていきます。
最初は痛みや出血を伴いますが、治療を続けるうちに、徐々に減っていきます。
その後、炎症が落ち着けば、1~2週間に1回で治療を継続することをお勧めしています。
スポット療法で効果が期待できる症状・疾患
- のどの違和感・痛み、咳、痰
- 後鼻漏(鼻水がのどに流れ込む感じ)
- 粘っこいものが鼻~ノドの間にへばりつく
- 耳閉感
- 頭痛、頭重感、肩こり、不眠、うつ
- 自律神経失調症
- めまい、ふらつき
- その他、膠原病、IgA腎症、アトピー、喘息など
Bスポット療法の注意点
- 上咽頭の炎症が強い方ほど、薬剤がしみて、痛みが生じます。痛みは数時間、ときには翌日まで残る場合もありますが、痛みが強いということは、薬剤が効いていることでもあります。痛いからといって治療を中断しないようにしましょう。
- 治療後に鼻血や血痰(鼻水や痰に少し色がつく程度)が出ることがあります。これは治療に伴う反応であり、しばらくするとおさまりますので、心配ありません。
- 治療によって炎症が治まってくると、治療時の痛みや出血は少しずつ減っていきます。炎症がなくなると治療時の痛みはほぼなくなります。
- 症状が改善する程度や改善するまでの期間には個人差があり、状態により内服薬やうがい薬、自宅での鼻洗浄などを組み合わせて行うことをおすすめいたします。
- 治療をしている期間中、一時的に症状が強くなったり、今までになかった頭重感や顔の腫れなどが生じることがあります。
- 本治療法は主に上咽頭炎に対する治療であり、前述の症状や疾患のすべてに効果があるわけではありません。また、補助的な治療法であり、ネブライザーや投薬などの現在受けている治療は継続していただく必要があります。
- 上咽頭はホコリや細菌、ウイルスのほかに、気候の変化や疲労、ストレスによっても炎症を起こしやすいと言われています。治療だけではなく、普段から気温の変化に気を付け、ストレスを軽減するよう生活習慣の改善を同時に行って行くことが大切です。