それってただの風邪?
風邪のお話
「たかが風邪、されど風邪」
長引く咳、痰、のどの痛み、鼻水
本当は怖い
それってただの風邪?
風邪かな?と思ったら
内科?小児科?それとも耳鼻科?
風邪とは?
寒さに感じて、健康を冒されるという意味で「感冒」とも言います。風邪を「かぜ」と読むのも当て字のようですが(「か」は気、「ぜ」は風を意味し、空気が動くことを「かぜ」といったようです)いずれにしても菌やウイルスなどが伝染して(感染による)炎症が起こる疾患です。
炎症が起こる結果として、鼻水・鼻づまり、のどの痛み、咳や痰、そして熱などの症状が出ます。インフルエンザもコロナも広い意味で「感冒」ですが、一般的に風邪と言えばそれ以外の菌やウイルスが原因の時を指すことが多いです。
原因のウイルスによって多少の差異はありますが、一般的には症状が出てから3日前後で症状がピークに達し、7~10日間で軽くなっていくと言われています。 逆に言えば1週間以上経っても症状が改善せずに続くときは、ウイルスによる感染から(身体の抵抗力が落ちて二次的に)細菌感染に移行していると考えた方がよい場合があります。また症状が一旦軽くなってきていたのに、症状がぶり返してきたという時も同様です。
菌やウイルスがどこに居着いて炎症を起こすかにより、症状・病名が変わります。鼻水・鼻づまり程度で治まれば良いのですが、奥の方の副鼻腔まで炎症が及ぶと副鼻腔炎という診断になります。のどで炎症が起これば咽頭炎、気管支や肺まで及ぶと気管支炎/肺炎となります。また鼻と耳は繋がっているので、特にお子様では中耳炎を併発することもよくあります。当院では呼吸器専門医と耳鼻咽喉科専門医が協力して、耳・鼻・のどのどこで炎症が起こっているかを観察し、聴診や胸部レントゲンなども踏まえて、気管支や肺まで炎症が及んでいないかを確認し、適切な診断・治療を行っていきます。
1.副鼻腔炎
のどの痛みや咳・痰は軽いけど、鼻水・鼻づまりが特にひどい時には、副鼻腔まで炎症が広がっていることがあります。ただ鼻水、鼻づまりのような鼻症状を特に感じていなくても、鼻水がのどにおちる後鼻漏が痰や咳の原因となることもあります。その場合は痰や咳が主な症状であっても、副鼻腔で炎症が起こっている可能性があります。
元々アレルギー性鼻炎がある方の方が、そうでない方に比べると、風邪をひいた時に副鼻腔炎まで至ってしまう可能性が高くなります。また副鼻腔炎を適切に治療しないと、特にお子様の場合は中耳炎に移行しやすいため、注意が必要です。
また急性副鼻腔炎が原因で痛みがある、または高熱が続く場合には、炎症が視神経にまで進行しかけている可能性があります。場合によっては目が見えなくなったり、脳に炎症が及んで意識障害を生じる可能性もあるため、ただの風邪と思って放置しないことが大切です。
2.中耳炎
鼻やのどについた細菌やウイルスが鼻と耳をつないでいる道(耳管)を通して中耳に入り、中耳の粘膜に感染を起こします。風邪をひいた時に鼻やのどの炎症に引き続いて起こることが多いです。激しい痛みを伴い、難聴や耳だれ(耳漏)の原因となります。放置することで滲出性中耳炎や反復性中耳炎、慢性中耳炎に移行し治りにくくなることもあるため、耳鼻咽喉科で完全に治るまで治療することが大切です。
3. 咽頭炎
鼻の症状や痰は少ないけど、のどの痛みが強いという時には咽頭炎が疑われます。同じような症状でも、炎症が起こる場所により扁桃炎、扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍、深頸部膿瘍、喉頭蓋炎など、より重症化しやすい病気もあるので注意が必要です。ただの風邪と思って放置しているうちに扁桃炎が悪化して、扁桃周囲から深頸部まで膿瘍(膿み)が広がり、場合によっては縦隔と呼ばれる心臓の周囲まで症状が広がり命に関わることもあります。
また急性喉頭蓋炎は、のどのふたの役割を果たしている喉頭蓋という所が腫れるので、呼吸が苦しくなり窒息する可能性があるので要注意です。
当院では、呼吸器専門医と耳鼻咽喉科専門医が連携し、これらの疾患を見逃さず重症化しないよう、早めに予防策を講じていきます。
4.気管支炎/肺炎
鼻やのどの症状より、咳や痰の症状がとてもひどい時には、気管支や肺で炎症が起こっている可能性があります。聴診および胸部レントゲン検査で、実際に炎症を来しているかどうか確認します。ウイルスだけでなく菌の感染が疑われる場合は、抗菌薬を使用します。また血液検査で炎症の程度を判断し、程度が強い場合には、連携病院での入院治療について相談させていただくこともあります。
また稀に真菌(カビ)や抗酸菌(結核の仲間)など、特殊な菌が原因で肺炎を来していることもあります。通常治療対応で良くならない時は、上記その他感染症以外の原因も想定し、場合によっては連携病院でCT確認その他追加検査をお願いします。
風邪は万病の元といわれます。当院では鼻症状、のど症状に対してネブライザー療法も行っており、症状の改善が実感出来ます。呼吸器専門医と耳鼻咽喉科専門医が適切な診断・治療をご提案させていただきますので「風邪かな?」と思ったら、是非当院を受診してください。